生産性をめぐる議論
ちょっと前に「生産性」についての本がヒットしました。「日本人は生産性が低い」的な話をデータを用いて海外と比較という内容でした。
買って読んだのですが、違和感しか感じなかったので、途中で辞めてしまいました。
私の理解が悪いのかも知れませんが、その本の中で生産性=「国民総生産を労働人口で割る」みたいな計算式のようです。
確かに日本人の生産性が低いなーと思う瞬間も多々あります。長い会議。ドキュメント至上主義者の延々細かいツッコミなどなど。
でも、例えば、松屋の牛丼とかあれだけの美味しさで場所代も込みで、あの安い値段で食べられるわけです。海外に行って外食であの値段で食べられるのは(東南アジアだったらありそうですが)、「生産性の高い国」の中ではほぼないのではないでしょうか。
つまり、「商品の質」「値段」「労働時間」の3つの指標で議論をしないといけないように思います。「値段」÷「労働時間」以外にも「商品の質」÷「値段」だったり「商品の質」÷「労働時間」みたいなものも含んで議論をして、日本の問題点を明らかにする、みたいな本を期待したのですが、全くの期待外れでした。
個人的には日本人の「(あの本で言う)生産性」が低くなる原因としては① 無駄の多い仕事と、②厳しい競争だと感じています。
①無駄の多い仕事
例えば、1%の人がミスすることを防止するために、99%の人も非常に多くのコストを払うことってないですか?無駄に入る確認画面なんかもそうですよね。
こないだ大企業に勤めている大学の同級生とお話しした時に、「決裁を回す書類を飛ばされる人」の話が出ました。「そういう人に限って決裁書類を飛ばされたことを根に持つ」みたいな話を聞いて、ふむふむと思いましたが、でも、決裁を回す人にしてみたら「飛ばしたくなる位、役に立たない人」である事実を忘れてはいけません。
②厳しい競争
ここは日本人の勤勉さが出てしまいますね。個人的にはあまり値段の安い高いで選ばないんですが、消費財とか本当に大変だと思います。某コンビニの本社で働いている人を数人知っているのですが、セブンイレブンと1円単位の勝負をするの、絶対疲弊するよなー、と思ってしまします。
私は「あの本でいうところの」生産性が低い、ということが本当に悪いのだろうかと思います。例えば、外食が安いことや非常に安価で(しかも全国どこでも同じ料金で)受けられる医療システム等その恩恵を受けていることも忘れてはいけません。医療における生産性の議論とかは本当に難しくて、例えばお医者様とか本当に過酷な条件で長時間働いていらっしゃっていたり、一方で救急車は本当に無料が適正なのか、等々議論はあると思います。
ただ、本質的な意味での生産性ってやっぱり大事だと思うんです。個人としては短時間で働いて、がっつり稼いで、しっかり遊びたいですもんね。
この「罠」にはまらないようにしたいので、弊社では、無駄な仕事の撲滅(会議とか全然しません。少人数のいいところ)と、顧客とはカスタマーエクイティや長期の関係を重視し、あまり競争に巻き込まれないようにしています。おかげで、基本的には社員の皆さんは定時に帰っているけど、設定どおりの営業利益率をキープしております。(なぜか宣伝^-^;;)
といいつつ、年度末の貴重な時間を割いて、このメッセージを書いている僕も生産性が高いんだか、低いんだかわかりませんね笑。