健康記事と倫理の問題
私は前職でインターネット黎明期に健康サイトを運営する事業をやっていました。開始したのは20世紀の話です笑。サイトを運営している中で「コンテンツ制作」といった事業をやったり、納品したコンテンツの一部でライターがいわゆる他記事の一部コピペをしていることが判明したり、という経験があったので、色々と今回の某社の事件は思うことがありました。
私が最初に某サイトの問題を知った時に思ったことは「倫理観」の問題でした。「死にたい」と検索してきたページにあるべきコンテンツとして、倫理観を持ち合わせていないのでは、ということに憤りを覚えました。程なくして事件はかなり大きくなり、記者会見になりました。記者会見の話題の中心は「著作権違反」でした。確かに著作権違反は違法ですし、「倫理」は個人の価値観なのでどんなに踏み外しても違法ではありません。一部上場企業の記者会見で扱うべきは著作権違反でしょう。
しかし、私がどうしても気になってしまうのは「倫理」の問題です。倫理とはgoogleに聞くと「人間生活の秩序」ということでした。他の会社でもキュレーションメディアの閉鎖が相次いでいますが、やはり倫理感という意味で、あのサイトは圧倒的にひどいと私は思います。今回の記者会見に社長や会長が出てきて謝罪をしていました。それは素晴らしいことだと思いますが、肝心の事業の責任者は出席していませんでした。それがどういう理由なのか、背景なのか、わかりませんが、私の中では、やはりあの場には事業の責任者であるべき人も出席するべきだったと思っています。
人によって「倫理」や「人間生活の秩序」は違うものだと思いますが、私にとっては「本来謝罪すべき倫理の問題に対して何の改善もなされていないな」という印象を強く感じました。その会社は他にも遺伝子検査の事業などもやっています。倫理観のない企業が遺伝子情報を扱う、というのはやはりとても危険なことです。早く倫理観の問題こそ改善すべき問題であることに気がついてほしいな、と思います。
今回の事件の背景にあるのは、ゲームでの急成長をした後のストーリーが描けておらず、新規事業を慌てて立ち上げていかないといけない、という焦りだと思います。ちなみに、私が影響を受けた考え方の一つにケーズデンキの加藤前会長の「出来るだけゆっくりと成長することを目指す」という考え方があります。前の会社で急成長した時に、「これはサステイナブルではないな」と感じた経験が元にあります。実際にその後、色々な問題(上に書いたような事例を含めて)が起きて、今の私の考え方があります。
そういった意味も含めて、今回の事件はなかなか考えるポイントが多いですね。